霜月祭の神事
霜月祭の神事は、地区や神社によって多少のちがいはありますが、そのあらすじについてのべて
みたいと思います。
霜月祭の神事は、まず全国の神さまを、遠山地方のそれぞれの神社に、お呼びすることからはじ
まります。
おまねきを受けた神さまたちは、宮の境内にたてられた「おやま」のオタカラ(ゴヘイ)を、目
じるしにしてしぐれの雲にのって、次々とおりてまいります。
そして、塩できよめた神さまの道を歩いて、にしきでかざられた湯かまの上にある、湯おとこ
(ゴヘイ)にひとまずおやすみになります。
おまねきした地元の神さま方は、その労をねぎらい大かまにわかしたお湯をさしあげ、かぐら舞い
などを舞ってごらんにいれます。これが湯立てという神事です。
お祭りが進むにつれて、招かれた神さまたちも、湯おとこからおりて、地元の神さま方と、いっしょ
になって舞ったり、うたったりいたします。
この湯だてのお祭りは、えんえんとして続きますが、やがてお招きした神さま方のお帰りのときが
やってきます。これが神返しという神事です。
全国の神さま方がお帰りになった後は、地元の神さま方と、氏子たちのお祭りとなります。
もうその頃は、夜明け近くですが、お祭りはこれからです。
待ちに待った、たった一度の神さまと、人間の出合いが、この霜月祭をいやが上にも盛りあげます。
いろいろのお面(おもて)さまが、次々と姿をみせて、氏子といっしょになって、境内せましとうたい、
おどります。
このおもてさまのなかには、遠山の殿さまだった遠山氏一族も、たくさん出てきます。
しらじらと夜があける頃、やっとこのお祭りも静かに幕をとじます。
氏子たちは、やがてくる新しい年のしあわせを祈り、かぐらうたを歌います。
″神はゆけゆけ、もりはとどまれ、またくるとしも神よびもどす。″